タムラのBlog

はっとしたら、ぐっときたら まずはそっと抱いてみる

さよなら、カナヘビ

24日、カナヘビの大人三匹、赤ちゃん一匹が亡くなった。

動かないカナヘビを見つける度に、「嫌だよ」「お願い」「ごめん」を繰り返し、この身勝手な愛情を吐き出すことで何とか自分を保ってた。


その日、出勤前に、霧吹きをして、水入れに水を設置し、コオロギを与えた。仕事場に持って行こうか迷ったけどやめた。


どんどん蒸し暑くなる室内で約10時間放っておかれる。それはカナヘビにとって命を落とすほどの過酷な環境であった。これを想像できなかったことが最悪な結果を生んでしまったのである。どこか人間の感覚で捉えてしまう。少しぐらい我慢できるだろう。走り回っていれば「凄く元気だなあ」。喋らない彼らの喜び、悲しみ、ストレスを人間の経験で判断してしまう。相手の世界を知ることが共存の第一歩。それを自分はちゃんとわかっていなかった。



仕事から帰ってきた。

飼育ケースの目の前に座り、霧吹きをしようとしたとき、右側の土の地面に這ったまま動かない中カナヘビを見つけた。奥の壁際でお腹が少し見えるくらいにひっくり返ったまま動かない小カナヘビを見つけた。そして、一番手前に、砂利の上で目をつむったまま這って動かない大カナヘビを見つけた。そしてその傍らに、脱皮の跡を見つけた。

赤ちゃんの部屋を見ると、ケースの真ん中で地面ににべったり這いつくばっている赤ちゃんカナヘビを見つけた。


一匹一匹ケースから取り出し、体をきれいに拭いた。まだまだ柔らかい体は、優しく一方方向に拭かないと鱗にペーパーが引っかかった。場所によって大きさや形が異なるが、綺麗に隙間なく並んでいる鱗。少し尖っている。

頭、目の周り、口元、少し力を入れて土の汚れを落とした。骨がしっかりしている。

顎を押さえると口がパカっと大きく開く。この大きく開くように構成されている顔の骨。そして柔らかい首の皮膚。これが大きい昆虫も飲み込んでしまうヒミツだ。


カナヘビの口周りに赤い血のようなのがついていた。口を開かせてみると真っ赤だった。ペーパーで血を吸い取り喉の奥を見ると血で塞がれていた。こよりを突っ込むと柔らかい血栓が取れた。カナヘビの体に何が起こったのか。

他の二匹の口の中は綺麗だった。同じ環境にいて、中カナヘビだけに起こったこと。

また、中カナヘビと小カナヘビは口の周りが青くなっていた。これもどうゆうことなのか。

赤ちゃんカナヘビや前に死んでしまったカナヘビは脚が力なく伸びきっていたが、この大人のカナヘビは三匹とも足がいつものように曲がったままであった。ここに、死に至った原因の違いがあることもわかる。

共通しているのは前脚がぶらぶらになっていたことと、人間でいうとこの手の平足の裏が上を向いてしまっていたこと。


体を綺麗にした4匹を並べると、一番大きいと思っていたカナヘビよりも中カナヘビの方が体長がトータルで、長かった。

目は水分がなくなるからか、くぼんでいく。あのギョロっとした大きい目玉はもう見ることができない。


触れば触るほどまた動き出すんじゃないかと思ってしまう。だからなかなか土に還すことができなかった。本当に死を実感するのは埋めるときだと思う。蘇るための肉体が側にある限り、もしかしたら・・・と、そこに命はまだあると勘違いしてしまうのだ。


感情を出すだけ出し、色んなことを頭の中で考え整理していくなかで、だんだん心の中にカナヘビを留めておけるようになった。

そして土に還した。



カナヘビの魅力は何だろう。

ここまで駆り立てたものは何だろう。

あの小さな体を通して、教えてくれることはたくさんあった。

そしてカナヘビについて知りたいことはまだまだある。


このブログどうしようか。



〜勝手にメモリアル〜


7月のあたま

この日、初めてカナヘビの体を観察し鱗の面白さに気づく。自分では気づくかないが虜になっていた。

f:id:oioimioi:20170826025318j:plain


カナヘビって仲間に対しても容赦ないな・・・カナヘビのサバサバした雰囲気にさらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826025721j:plain


ミルワームを食い尽くす姿を初めて目の当たりにした。飲み込む力の凄さをしり、さらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826025823j:plain


仲良く並んで土の中に潜ってた。カナヘビは仲間意識があるのか縄張り争いをするのか、そのわからなさに、さらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826025856j:plain


卵が土に埋まっていた!予想以上に大きくなることを知った。その成長にさらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826025925j:plain


初めて脱走した。すぐに捕まえた。その感じにさらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826025955j:plain


孵化は感動した。こんなに小さい体がどんな風に大きくなるのか。私たちの身近には、数知れない自然の神秘や不思議が絶えずあるんだと感じた。さらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826030046j:plain


寺山修司記念館。挑戦的な姿に、さらに虜になった。

f:id:oioimioi:20170826030137j:plain


亡くなった日の朝。

目が印象的で思わず撮った。

f:id:oioimioi:20170826030308j:plain


f:id:oioimioi:20170826030333j:plain


泣けちゃうね。


BGM♪

The Beatles

HERE THERE AND EVERYWHERE 

完全にカナヘビに恋をしていたね。

恋の重さに、ストレスを感じていたかもしれないね 。笑


今日、友達の職場でカナヘビがいたことを聞いて、ハッとした。まだまだカナヘビとの出会いはたくさんあるんだと。

そして君たちの生態をもっと自然の中で学んでいきたいと思った。